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運命操作

第1章 そして物語は動き出す

「君は、失恋した。だけど、今もなお彼を想い続け、次の恋を受け入れられずにいる」
声は続く。

「そんな風に引きずってるのは、想いを告げないまま終わったから。告白して完全にフラれてからでないと新しい恋へ移ることはできないって、君自身思ってる――そうだろ?」

心中ズバリを言われて、あたしは黙り込んだ。

そう。終わったはずのこの恋が終わらないのは…未練があるのは。この恋に対して、あたしは今まで何のアプローチもしていないためである。

だから、悲しい思いも、モヤモヤも…未だに引きずっているのである。


「でも、本当はこうなるはずじゃなかったって言ったら――どうする?」

「……え?」

「本来なら、君は中村茅と結ばれるはずだった。…って、言ったら?」

「だった…って、どういうこと?」

「君は、運命を変えられた。操作されたんだ」

「運命を操作されたって…そんなこと」

「可能だ」
あたしの言葉を遮り、はっきりと言い切る。

…先ほどからずっと気になっていた。声は、声の主は、最初からそう。まるで、すべてを知っているかのような口振りであった。今のあたしが、定められたものであるとでも言うような。

「じゃあ誰に?もしかして…あなた?」

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