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?…好き…?

第38章 迷宮…

この日も、彼女は伸びてきた髪を結び、眼鏡を掛けていた…
「そぉねぇ~、3本は吸うかしら(笑)」
「あぁそ、じゃあ時間大丈夫って事だよね?そんなに急いでないって事だよね?」
「うん、今日は子供達、旦那とばあちゃんが看てるからぁ」
「んじゃぁ、プチ拉致っちゃおっと、あそこの公園まで行こぉぜぃ」
「いいわよぉ~」
近くの公園まで、車を走らせた。
と言っても、公園の駐車場に入れて、そのまま車の中で、煙草を吸うだけだが。
例によって、彼女のお喋りが始まる。
止めなければ、止まらない勢いで。
正直に言えば、そのまま彼女のお喋りを、止めないで聞いていた方が、おそらくは平和であろう。
彼女が俺に向かって、お喋りをしてくれる事は、とても楽しい。
軽く手を握る位なら、彼女は何も言わないで、繋いでいてくれるだろう。
きっと、そうしてさえいれば、今までと何ら変わらない時間(とき)を過ごせるに違いない。
でも…
ここ最近は、こうして彼女と時間(とき)を過ごす事も、極稀。
彼女は母としての顔がある。
そして、自分の病気に関しての、治療と言う治療は終わった様だが、経過観察的な、診察等は続いている様でもある。
そう、彼女に暇など無いのだ。
分かっている。
だが、果たしてそれだけなのか…?
病気だから、男と女の行為は、何も出来ないのか…?
俺は、出来るなら、彼女に触れたいし、男と女の行為もしたい。
でも、彼女の病気が病気だし、手術をして何ヶ月も経たないのに、出来なくても無理はない。
それも想像するのは容易い。
それに、この1年ばかりの彼女の言動…
『…こと…かな…』
『アタシって…冷たいから…』

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