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S×強気で恋になる

第66章 慣れと諦め



親父が誰か知らない3歳くらいの子を
抱き上げている写真


やべ、この前ここに挟んでたまま
忘れてた

捨てなきゃな、こんなもん

そう思っていると純平がそれを手にとった


「・・・・これは、誰ー?」
「・・・関西住んでたときの、近所の子。貸して、しまうから・・。そーだ、生ハム食う?めっちゃ美味いやつ、買ってたんだった」

俺が話を変えるのに
純平はなかなか写真を離そうとしなかった

「・・・・俺この写真に似たやつ・・昔見たことある・・けど似てるだけかー・・。な、この写真ちょーだい」
「・・・わかったから、お前酔っ払ってるだろ?シワなるから、預かっとく。ほら、アルバムしまうぞ」
「あのなー、真央ちゃんが俺の知らねぇお父さんの写真持ってるらしーんだ。・・・死んでるって言われてきたから興味なかったけど、和也ならどーする?自分の本当の父親が誰だったか、気になるー?」

そんなことを言いながら、クッションを抱いて頭をポフポフさせる

「・・・・さー・・見なくて・・いいんじゃねーか?お前とお袋さん置いてったんだろ?いいよ、見なくて」

「・・・そっかー・・・・・だよなー・・・」

そう言ってゴロンと横になる


あ、ごめん

不意に罪悪感に襲われる
本当かどうかもわからないけど
自分を守るために自分達家族を守るために
俺、今最低なこと言った


「・・・・・純平、生きてたら会いたいのか?」
「・・・・気になるけど、会いたくはねーよ。もしお父さんってのがいたら、あの人もあんな風にならなかったかもしれねーし。・・・んー、酔っ払ってんだ、俺」
「・・・だな。楽しい話しよーぜ。あ、真ちゃん帰ってきたぞ。今音した」

そう言うと、パッと体を起こした

「ほんとか?!んー・・・なんか和也の背中くまちゃんみてー・・・」
「ちょ、それ前も言ってたけど、やめろ!って、背中抱きつくな!眠いだけだろ?!っーか、真ちゃん来るから、タイミング悪いって」

眠くなったら、いつもくまちゃんって
なんだよ!?

ぎゅーっと背中を抱きしめながら
寝ようとする純平を引き離そうとしていた

あーもー!
真ちゃんの足音、近づいてきてるの聞こえないのかよ!!!


ばか、純平、離せ!!!

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