S×強気で恋になる
第67章 岡崎と藤間と片瀬と犬(オレ)
ギュッと抱きしめたときに
香る匂いも
背丈も
温もりも
全部全部真一で
俺はわからないけど
なんでか説明できねーけど
目が赤くなるのを感じていた
「冷えるだろ。寝ろよ」
「・・・・いや」
「じゃー、そこにいろ。明日も仕事だろ?俺も仕事だから。」
「真一の馬鹿野郎・・・」
「飼い主にえらい態度だな。仕事だってんだから、待ってろよ。じゃーな」
そう言って、手を俺から離して出て行こうとすると
純平が呟いた
「・・・逃げちゃうからな・・・も、脱走するからな!!真一の馬鹿野郎!・・・お前なんか・・飼い主失格!!!!」
そう言って、純平が俺をもう一度抱きしめる
「っ、わかったから・・・・。ほんと、お前俺の理性崩すのうまいな。俺にも事情があんの。ったく・・・」
「俺も一緒に帰る・・・!!」
そう言われて、俺が手を頭にのせると
俺の方をみた
涙目で、でも勝気な真っ直ぐした目
こいつに嘘言ってもしょーがねーか
「そんなに寂しかった?」
そう言うと、純平は俺の目をじっと見る
「純平。ごめんな。」
そう言って強く抱きしめると純平が首を振った
「っ、謝らないで・・・置いてかないで・・・」
あぁ、俺は何をやってたんだろうか
こいつの体をぶっ壊しておいて
束縛して、俺に依存させておいて
こいつの事情、全部知っておきながら
時が風化してくれるのを待っていたなんて
俺らしくなかったな
逃げてたのと一緒だからな
俺がどうしたらいい
じゃないんだ
純平のために何をしてやれるか
だったんだ
1ヶ月も考えてたのに・・・・俺って馬鹿だな。