
S×強気で恋になる
第70章 出張大波乱!
「開けていい?」
アルバムを手にして俺の目を見て聞く純平に、
無言で頷く
少し薄暗いホテルの部屋は
今の俺にとって好都合だった
純平がどんな顔したか
俺がどんな顔してるのか
そんなにハッキリ見えなくてすむ
そう思っているのに、気になって
純平が座っているソファーに座り
純平を包むようにして
純平の肩に顎をのせた
そんな俺を振り返って見て、微笑み
純平がアルバムの表紙をめくった
「・・・え、・・・これだれ?」
「純平。・・・1歳のときかな、日付的に。お前ちっせーなー」
「えー・・・・これ、・・・・・お母さん・・・・・」
「幸せそーだな。お前のお母さん、笑ってる。」
確か、3歳のときに、俺の親父が消えて
新たな男との子、真央ちゃんができて
純平に関心がなくなったんだよな
で、お前は虐待されたって・・・
「・・・・はじめて見た・・・・なんでこんなん持ってんだよ・・・!」
あ?怒ってる?
涙が出たのか、袖で純平が目元を拭っていた
「・・・いや、俺お前が喜ぶかなーって・・お前小さい時の写真持ってなかったし・・・施設の時の写真も園長先生から・・もらってきて・・・小学校ときの・・写真とかさ・・・ねーじゃんお前、そーゆーの。だから」
「だからなんだよ!!!っ・・だから、なに・・・?」
「・・・だからなにって・・・・・なに?」
「悪かったな、ガキで・・・!!俺はお前みてーに、大人になれねーよ!!」
過去にいつまでも縛られてないで、早く克服しろってことだろ。そんなのわかってる。だけど、・・・こんな写真見たくもなかった。
俺は忘れたいんだよ
克服も認めることもしたくない
そう思ってるのに、なんでいつもお前は・・
俺お前みたいに強くねーんだよ
まだそんなに余裕ねーし
ちょっと待ってほしかった
嬉しいって気持ちになるまで
まだ待ってほしい
真一何焦って・・・
そう言いたいのに、言葉にならなくて
俺が黙っていると真一がイラついたのか
俺に怒鳴った
「俺だって腹括って受け入れたんだよ、お前が親父の愛人の子だってことも、義弟だってことも!!」
どーゆーこと
なんで、俺にそんなこと言う?
・・・・・俺なんかした?
