S×強気で恋になる
第72章 榊原純平
豪華なホテルに呼び出されて
俺は戸惑いつつも指定された部屋をノックしていた
まだ微熱が続いていたからか
どことなくしんどかった
ドアが開いて、中に入ると
そこには豪華絢爛な部屋に相応しい
隆彦が座っていて、俺を見るなり微笑んだ
「来たんだ。・・・純平」
「・・・・・・」
「何回も電話したかいがあったよ。まあ、座れって」
「用件は?俺、真一に黙ってきてて、すぐ帰るからな。」
「別に好きでもなんでもないくせに。そんなに大事?強姦されて半ば軟禁されてただけだろ?」
「そんなんじゃ!!・・そんなんじゃない」
「ついでに洗脳もされたってことか。可哀想に。お前の生い立ち知ってて、あんなに束縛されたらそうなるよな。悪かったな、俺の弟が」
「違うって言ってんだろ!!!帰る!!!」
そう言って帰ろうとすると、
隆彦が俺の腕を掴んだ
ずっと前から隆彦から呼び出されていた
だけど無視してて
そしたら和也と真一も知ってる秘密
お前には黙ってるんだな
可哀想に
とか意味深なこと言うから
ついカッとなって俺はここに来てしまっていた
「待て待て。でも、まあお前は用済みだし。元あるところに帰ってもらわないと。な、俊哉」
「え・・・・・」
そう言ったかと思えば、奥から俊哉が出てきて
どーなってんのか分からなくて
ギュッとお腹が痛くなり
俺は勝手に後ずさりしていた
「まあ、警戒すんなって。
簡潔に話そうじゃないか。
そう言って、隆彦が語る言葉で
俺はどんどん透明になってるみたいで
話が終わる頃には
抜け殻みたいにどこにも力が入らなかった
ただ目から涙が出て
寒くて
冷たくて
目の前が真っ暗になった