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S×強気で恋になる

第72章 榊原純平

「おーい、晩飯できだぞ」

そういうのに純平はずーっと窓の外を見ていて
本当に俺の声なんか聞こえてないみたいだった

ご飯を置いて
先にテーブルに座って純平を見てても
純平はまだ外を見たままで

その横顔は映画の中の人みたいで
かっこ良くて
透き通ってて
純平が絵の中にいると
他全部が背景みたいで


・・・・でも、ガキみたいな眼差し・・


なーんで身体だけ
こんなに大きくなっちゃったんだろーな

心はまだまだ
子供なのに
成長なんかしてないのに




そう思いながら、立ち上がり
純平の近くまで行くと
やっと顔を向けた

「・・・なに?」
「こっちのセリフ。ずっと呼んでるだろ。・・・何見てた?」

そう言いながら頭に手をのせて
顔を覗き込む

「ん、考えごと。飯なに?」
「今日はロールキャベツ。好きだろ、お前。」
「真一やべー。・・・・っ、」
「お前なに目赤くしてんの?可愛いーやつめ!そんなんで泣くわけ?」
「は?!ちげーよ!!なんか、わかんねーけど、・・わ!!やめろよ、髪の毛ぐしゃぐしゃなんだろ!!!」
「このやろー!!!っ、おりゃ、カッコつけやがって!!」

そう言ってサッカー選手みたいに
じゃれながらダイニングに行く


純平は細いしなやかな体を
どこに力を入れることなく
俺のそばにいてくれて

それって俺的にすげー嬉しくて
昔みたいな警戒心がなくなってて

ようやく本当の純平に出会えた気がした


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