S×強気で恋になる
第74章 バカ犬
ガチャっと開けると
何もないただのワンルームで
生活感はまるでなかった
あるのはベットとテレビとお湯を沸かすためのやかんだけ。
俊哉が捨ててるみたいで
ゴミもなく開けてないカップラーメンが
いくつか転がっていた
純平は誰が来たのかすら気にならないのか
ベットの上でぼーっと外を見ていた
俺は泣いていた
まだ何も考えてないけど
言葉を口にしたわけでもないけど
純平とまた会えたことが
すげー幸せに思えて
あいつが幸せだって
安心するって
笑ってた意味を、日々の重さを
実感して涙が止まらなかった
あいつの前では男らしく
俺様でいたいのに
止まらなくてもうどう思われようが
そんなん気にならなかった
一歩一歩近づき少し痩せた純平の名前を呼んだ
「っ・・・純平・・・・・・」
そう呼ぶと、小さく頭を振って
耳に手を当てて頭を抱える
「夢じゃねーよ・・・・純平俺だって!!!」
そう言って思いっきり背中から抱きしめる
「純平の居場所はここじゃない。俺と一緒に帰ろう、な?」
と、純平が声を出して泣きながら
やめろと、暴れ出す
「もう絶対離さねぇ。だから、俺のこと信じて、お願い・・・重くてもいいウザくてもいい、俺はお前がいないと生きていけないから、・・・死ぬまで追いかける」
そう言うと
純平は急に大人しくなって
ぐずっと泣いていた
「話しよう。な?」
「・・・・・・」
「純平お前が選べ。俺と来るか、ここに残るか。もう無理矢理はしない」
そう言って立ち上がると
困った顔をして俯く
だけど、俺が黙って手を差し伸べたら
純平は俯いたまま震える手で俺の手を握った
強く、しっかりと