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S×強気で恋になる

第76章 粉雪

「なんか純平疲れてねぇ?ため息ばっかつくな」

そんなことを言われて
俺はガバッと顔をあげた

だって、お前の弟が俺に変なもんつけるから
それのせーで、最後の最後は
やつの思い通りにさせられるし
なんか窮屈だし
昨日出せてねーのに
あいつがエロいことばっかするから
もう頭の中そればっかりで

ほとんど限界なんだよ・・・!!

そう叫びたい気持ちを抑えて
俺は、別に・・と答えた

「なんだよ純平。いつものアホっぽさがないだろ?」
「アホって言うなよ・・・、なぁ、隆彦ってフロアどこ?後でこの書類渡してくる」
「はぁ?お前が直接行かなくてもいいよ。わざわざ面倒だろ?」
「・・・用事ついでだから。俺、この前酔っ払ってあいつに迷惑かけたまま会ってねーんだよなー」
「・・・・・・真一に言った?その考え。」

急にいつも柔らかい和也が
真ちゃんじゃなくて
真一って言って俺は顔をあげた

「お前はいい人すぎるだろ。・・・もっと自分のことだけ考えろよ。そんなんだから騙されんだろ?!無力なくせに勝算とか計画とかあんの?!」
「え・・・?」

「・・・・・ごめん。今のは気にしないで。隆彦のとこ行く時、俺も行くから。・・・心配してるだけだ。お前今、幸せなんだろ?そしたら、その幸せを守ること考えるんだ。わかる?」

そう言っても、なんとなく何か言いたげで
だけど険しい顔したままの純平に
俺はコーヒーを差し出した

「例えば・・・俺は俺の幸せのために、今お前を抱きしめたりしない。俺はもうお前に下心ねーし」
「え・・・?」
「俺がお前を抱きしめたら、楓が不安に思うかもしれない。・・・お前が真一に黙って隆彦に会ったら?」
「真一怒るか・・・」
「うん。っーか、あいつ怒ってるみたいに見えるだろーけど・・・・。俺からみたら、家族だからひいき目だけど、人一倍優しくて人一倍不器用なだけだから。」
「・・・うん、・・・わかってる」

そう言ってコーヒーを飲む純平の頭を撫でて
俺はニヤッと笑った

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