
S×強気で恋になる
第79章 それぞれの地雷
「え?お前行かねーの?」
「行くかよ。常務と専務と俺っておかしいだろ。電話対応してるから、行ってきて」
そう言って、和也を
部屋から出してから1時間
俺も社食行くなりなんなり
すればいいんだけど
正直、そんな気分じゃなかった
痛ぇ・・・っーの・・・・・・
そう思いながら
ため息をつく
真一が俺を睨んで拳を振り上げる顔が
俺の頭の中から消えなくて
俺はそのまま目を閉じる
あんな顔・・・・
させるつもりじゃなかったのに
ーお父さん、みて、片付けたよ
ーねぇ、ちゃんと洗い物やったよ?
ーねぇ、・・・何したらお家いれてくれるの
おでこの傷が痛むと同時に
懐かしい記憶が蘇る
あぁ
前から同じか
俺がいけないんだ
喜んでもらえると思っても
俺は殴られる対象でしかない
今も昔もずっと
お母さんも
お父さんも
俺が本当に愛されたいって
そう願う人とは
なんでこんなにうまくいかないんだろう
そう思いながら
目を開けて高層階から下の景色をみる
行き交う人は
幸せそうで
遠くて
俺だけ社会不適合なんじゃないかと
そう感じた
薄暗くて厚い雲から
たくさんの雨粒が落ちてきて
俺は雲を見つめる
上を向いたはずなのに
俺の視界も
窓の外の景色のように
潤んできて
瞬きをしたら
ポロっと涙が頬をつたった
