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S×強気で恋になる

第81章 スタートライン




冷たい純平の手が急に熱くなって
振り返る




振り返って見たら
俺の好きな人が



照れているのか、
どうしたらいいか分からない顔で
笑いながら泣いていた




ー俺のことなんも分かってねーよ



さっきそう言っていた
純平の言葉を思い出す




そうだな




純粋で単純で素直で馬鹿で
真っ直ぐで・・・・・




純平のいいところを考えながら
引っ張って歩いていた歩幅分
純平に近づく




「何泣いてんだよ」
「っ、知らねーよ、こっち見るな・・!」
「幸せすぎて涙腺壊れたか?俺、すげー嬉しい」
「・・・なんか変だろ、どーなってんだよ。・・嬉しいって何が?」



何が?
教えて?


って本当にわからない顔をするから
俺は純平をまた抱きしめる



お前があんまりにも
幸せそうな顔してくれたから


そんな満たされた笑顔
初めてみたから





俺も嬉しくて泣きそう





お前の居場所はここで
お前が甘えていいところもここで
ちゃんと守るから
絶対手離さないから



だから




だから













深くこれでもかってくらい
抱きしめられて
俺は不思議な安心感に包まれる


ずっと小さいときに
こんな風に誰かに抱きしめられたかったな



なんてつい思ってしまって
収まりかけていたものが
また爆発する



「お前ずっと我慢してきたんだろ、いろんなこと。ちゃんと俺がいるから、泣いとけ」
「っ、るせ・・・くそ、止まんねぇ・・・」



ちゃんと入籍してさ



幸せになろうな

もっと

もっと



そう思いながら
抱きしめあってると

目の前の大きな扉が開いて
マダムに怒鳴られた














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