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S×強気で恋になる

第83章 S×強気は愛になる

目の前に淹れたての珈琲が入った
マグカップを置かれて俺はまた笑いそうになる

「手慣れてるな。突然来たのに、わりぃ。珈琲サンキューな。」

そう言って、一口飲むと純平がめちゃくちゃ嬉しそうな顔で微笑んだ

「俺、和也のとこ行こうとしてたんだ。やめたけど。ほんとにさっき、さっきだよ?すげータイミング」
「まじ?なんでやめたんだよ。」

やめることねーのに、
って付け加えながらそう言うと
純平が俺の向かいの席に座って、
ほんの少し恥ずかしそうな顔をした

「だって、楓と過ごした方が・・。せっかく二人で過ごせるんだし邪魔かな、って」

そう言って、俯く純平に
変わったなと思いながら
俺はまた珈琲を飲んだ

「いつも邪魔ばっかしてたのに・・・。成長したな、純平。でもよー、邪魔なんて思わねーよ。弟みたいなもんだ、ったろ。忘れたのかこの野郎め。」

そう言って、前より男臭くなった和也がニヤッと笑って、大きな手で俺の髪の毛をクシャクシャにする

弟みたいなもん、家族だなんだって
俺、結構和也に救われてたよな
そう思って、素直にそう言うと
和也が今度は俺の頭をポンっと撫でた

「真ちゃんと、・・・うまくやってるみてーだな。それは安心した。・・純平は、無理してねぇ?大丈夫だったか?俺心配してたんだぞ。」

無理してねぇ?
和也が相変わらず優しくて大きくて
俺はそれだけでホッとする

「大丈夫。さみしいときもあるけど、それは多分お互い様だから、俺は真一に負けないようにちゃんと生きてく」

真一に負けないようにちゃんと生きてく

そう言う目はえらく真っ直ぐで
日本にいた頃の甘えん坊の純平とは
全然違うんだと、それだけで察することができた


アメリカにきて
たくましくなったな


体つきも雰囲気も心も


全部強くなった


そう思うと、嬉しくて
俺はよくわからねー涙が出そうだった


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