S×強気で恋になる
第40章 安藤直人
カシャーン!!
縫合セットが床に落ちる
「っ、よっと!!先生?どうしたんですか?」
「ん・・・ーーー、立ちくらみだから、大丈夫だ。」
スルッと俺の体から離れ、ソファーに座る
ふーん、案外弱味みせないタイプなんだ
なにが立ちくらみだよ
眩暈で、意識とびそーだったくせに
全然可愛くなーい
先生、俺も結構意地悪いよ?
「先生らしくないですよ。これ、出来たんでみてもらってもいいですか?」
そう言って、座ったばっかりの先生を立たせる
「あぁ。コホッコホッー・・・。なぁ、ここ、寒くねーか?冷房切ってくれ。」
なんか目がちょっと潤んで、いつもの怖い感じと全然違う
寒い・・・
背中ゾクゾクする
っ、早く家帰りてぇ
でも、こんなやつの前で倒れるわけにはいかねー
早く切り上げよう。
「あぁ、ちゃんと出来てる。終わりだ。帰る」
「よかったです。本当にありがとうございます!!先生お礼にご飯でもどうですか?先生朝もバタバタして何も食べてなかったし。心配なんで」
「気持ちだけでいい。俺、帰るからあと頼む。」
「そんなー。せっかく予約してきたのに。」
・・・こいつなかなか真面目で可愛がってたけど、うぜーな、なんか
「わかった、行くから。も、すぐ帰るからな。」
「ここで待ってて下さい。先生って、あの鞄だけですよね?鞄持ってきます。」
「え?・・あぁ。寝てたら起こしてくれ。」
そういってソファーに座り、うな垂れてる先生を横目に、再び温度を下げ、俺は部屋を出た。
14時か。
先生、家どこなんだろ。
なんか覇気なくなってきたし、先生の上またがって掘られたいな
いや、掘ってもいいな
ーあれ、研修医の安藤さんよ?可愛い顔してるわよねー
おばちゃんたちの横を通り過ぎ、俺は半ばスキップで廊下を歩いていた