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S×強気で恋になる

第12章 ひとり

「おい。待て。ちょっと待て!」
俺は動揺していた。
同じマンションだから、入り口のオートロック解除にはなんの疑問もなかった。
玄関前につき、俺が左手で鍵を出そうとポケットをゴソゴソしてると、シレっとなぜか鍵を持っていた岡崎が開けたのだ。

「てめぇ、家の鍵、なんで持ってるんだよ!」
「んー?お前を躾るためーかなー?細かいこと言うなよ、男だろー?」
「お前っ!ふざけんなよ!」
「・・・。昨日はさ、真一とか言ってたくせに、お前酔っ払ってた方がいーぞ。ほら真一って言ってみろー?」
俺の髪を弄くりながら、そんなふざけたことを言ってくる。
「言えるか!だいたい・・・っは」

またキス・・・された。
口を腕で拭う。

「っ、お前、そーゆーのすんな。気持ちわりぃ!」
ニヤニヤ笑いながら、岡崎はキッチンへ向かう。
「素直じゃないなー。純平は。まぁテレビでも見て待ってろ。」
いや、俺の部屋だし。
なんか、こいつといると調子狂う。

あー、全身が筋肉痛で痛い。
カレーの匂いがしてくる。

グルルルギュルルルルルー
「純平、腹うるせー。晩飯抜きにしてみるかー?」
「うるせーよ、いちいち。」

やべぇー。腹減ったー。
くそー。

カタッー、テーブルに小さなピザが置かれる。
「純平、カレー出来るまで時間かかるから、先にこれ食ってろ。」
俺は岡崎の顔を見る。
本当にこいつなんなんだ。
こーゆーとこ優しいと、どうしていいか分からなくなる。
「お前気持ちわりーよ」
俺はまた余計なことを言ってしまった。

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