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S×強気で恋になる

第43章 哺乳瓶


あ、泣いて戻ってきた

っーか服濡れてるし

「お前、頬濡れてるぞ。泣いてんのか?」
いつもの無表情だけど、目に涙がたまっていた

「・・・泣いてねぇ。も、寝る・・・」

そう言って、寝室に行く純平を追いかける

「そっか。誕生日パーティー、嬉しかった?」

「・・・うん。なー、和也・・・俺のこと好き?俺・・・価値ある?」

お前が来てから我が家は不幸だ。
存在価値ねぇーんだよ!!
だから捨てられたのよ


頭の中でぐるぐると言葉が回る

「好きだよ。真一も雅史も、好きだよ。どーした、いきなり。寝れるか?」
「・・・真一・・・は?」
「歯磨きしたか?歯ぐらい磨いて寝ろ。そしたら、洗面所に真ちゃんいるし、な?」

「うん・・・。」

ワシワシと頭をはらいながらあくびをして歩く
そんな姿は立派でもないが、25歳大人の後ろ姿だ

だけど、こいつ
なんか大事なこと知らずに育ってるよな

なんか上手く言えないけど
すっげークールなのに
死にそうなくらい不安な顔をするし

触られると嫌がるのに、
頭撫でられたりすんのは好きそうだし

買い物中も黙ってるけど、
置いてかれないよーに
絶対離れないし

女扱いはうまいとこが、最後の謎だな。
真ちゃんに、また聞くか

逆ナン流すのも、純平うまかったからな
俺だと、ちょっとその気になるのに

洗面所に曲がったところを見届けて、雅史に目を向ける

「おい、起きろ。帰るぞ。」
「んー?この家居心地よすぎ・・・眠い・・・」

真ちゃんに声をかけ、純平にまたな、と言って家を出る。
俺も誕生日会してほしーな。彼女作ろ。

んなことを思いながら、タクシーに乗った。

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