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S×強気で恋になる

第48章 小さな亀裂

「お疲れ様。葉山先生、交代です。」
「あー疲れた。なんか、ここの駐車場で男性倒れてたらしくて、腕は治ってたから結局とったんだけどさー、ギブスびっしょびしょで・・・カットしにくくて疲れた。赤い車の前に傘ささずに倒れてたらしーぞ。低体温症だって。めんどくさいやつがいるよなー。じゃ、なんも起きないことを祈るよ」
「・・・・・・あぁ。おやすみ。」


赤い車って、俺かー?
それに、ギブスで腕治ってた?

純平のギブスカット予定は木曜日・・・

ぱっと看護師が片付ける前に
箱に入っていたカルテを出す





ー横山純平





っ、あいつ!!!



「ねぇ、この患者どこの病室?」
「一般が埋まってたので、個室にいます。このフロアですよ。どうしたんですか?」
「こいつ、俺の患者だ。見てくる!!」


早歩きを通り越して走る



何やってんだよ、馬鹿野郎!!!



スーッと横扉をあけると
純平が横たわっていた


横においてある鞄がぐっしょりと濡れて中まで水浸しだった。
何時間いたんだよ・・・
ピタッと触ると身体が冷たくなっていた
たくさんの毛布がかけられ
部屋が暑いくらいだった

震えてるし・・・




こーやって、俺の気をひこーとしてんのか!?
ぐっと拳を握りしめる





「・・・しん・・いち・・・・・・っ・・・」




っ、泣いてる?
「おい、しっかりしろ。俺だ。ここにいるから。」

そう言って手を握る

が、


いつものように握り返してはこなかった



っ、


なんだよ。握り返してこいよ・・・



俺が手放した・・・のか?
こいつに嫉妬して

でも付き合えねぇって言ったのはお前だろ


なのに、なんで
倒れるまで待ってんだよ



お前の考えてることわからねーよ




手をはなし布団をかけなおし純平から離れた



じゃあな


ちらっと鞄を見ると携帯が目にはいる

ピッと開くと
俺に送ったはずのメールの履歴がなかった


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