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S×強気で恋になる

第59章 なくしたもの

「他ー?あ、よく隆彦と喧嘩してたな。それ見て茶化すのが悠二。最後、お母さん!!って逃げ出すまで殴りあったり言いあったり・・・隆彦がからかってたな。なんでも、取り上げちゃって、真ちゃんが怒るパターン。そのときは、まだ雅史いなかったから、一番幼い真ちゃんばっか泣かされてた。」

「へー!!和也は?和也はそんとき、どーしてんの?」

「仲裁に入るか、俺お祖父ちゃん子だったから、じいちゃんと遊んで放置してたな。でも、雅史が産まれたぐらいから、真ちゃんが異常に俺につきまとってきて・・・で、俺の一人の時間はなくなった、ってわけ。」

お祖父ちゃん・・・・・


俺のお祖父ちゃんとお婆ちゃんって
誰なんだろ

てゆーか、そもそも父親誰かわかんねーし

いいな・・・・楽しそうだ

「純平?どうした?」
「や、別に。・・・他には?」

「うーん、真ちゃんって小学生くらいから大人になるまで涙見せなくて、でも、一回だけ俺たち家族の前で泣いたことあんだけど、いつだと思う?」

「えー?誕生日とか?卒業式とか?」

「バスケの試合のとき。あいつ中学生のとき、全国でも指折り選手だったんだ。全国の準決勝で相手の足の上のって捻挫しちゃって、途中で交代して病院行ったことあんだよ。そのとき、俺たち全員が見に行ってて、なんかすげー泣いてた。そんときに、優しく処置してくれた医者に憧れて外科医になろうって決めたらしーぞ。」

「そーなんだ。へぇー・・・なんで泣いたんだろ。」
「そもそも、アンスポーツマンライクファウルだったから、レフェリーが止めたんだけど、そのときそいつのことぶん殴って返り討ちに出来ずに運ばれたことが悔しかったんだって。あいつらしーだろ?」

こえー・・・

「で、隆彦がまた松葉杖隠したりわざと押したりしてさー、・・・隆彦は真ちゃんに構って欲しくてしょーがないって感じだったけど。まあ、昔の話しだ。今おっさんになって、そんなことしねーよ。隆彦と真ちゃんは相変わらずだけど。」

「・・・・いいなー、家族がいて。」
「え?」
「わ、ごめん。別に言うつもりはなかったんだけど、わりぃ。気にすんな!」

本当に心の声が漏れたように
ポツリと純平はいい、
咄嗟に気を遣わせないようにそれを隠す


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