S×強気で恋になる
第59章 なくしたもの
「・・・昔のこと?」
「なんか、いろいろあったんだろ?なんかちょっと聞いたけど・・・」
昔のこと・・・
そう思っていると、この暗さと狭さが俺を襲い
闇に取り込まれそうになる
ー出して、お母さん、ここ、暗くて狭いし怖いよ。純いい子にするから、お願い、出して
と突然トリップしたように
鮮明に記憶が蘇り
どうしていいかわからなくなる
「純平!?大丈夫か?」
急に、頭を振った純平に声をかける
「・・・・ごめん。言いたくねぇ、から、その・・・新聞記事とか探して見て。俺を産んだ母親も、俺の最初の養子先の親もどっちも逮捕されてっから・・・お前に昔話させといて、ごめん。」
そう言って、後ろから抱きしめていた腕を離し
純平が俺から離れる
純平は顔を伏せて座っていた
あー!!!も、わかってたのに、っ、くそー!!
「ごめん。・・・純平」
「・・・お前は悪くねぇ。・・俺がおかしーんだ。頭うってから、なんか夢にすげー出てきて・・・」
「うん。力抜いて。いい思い出もっと増やそうな。な?ほら、チューしてやるから。」
「え?!和也とちゅーは、ためだろ。それ、浮気だろ!?」
「元気になったな。チューなんからしねーよ。お前からかっただけ。真ちゃんと旅行とか行けば?リフレッシュできるぞ。、」
「・・・そーだな。・・・・・携帯の電気つけていい?暗くて怖い。」
「ガキか。ほら、俺ライト機能あるから。」
あー、早く動かねーかな
純平がいちいち可愛くて
脆くて
抱きしめて俺だけのモノにしたくて
たまらなくなる
くそー、俺には拷問だよ・・・
そう考えていると、突然肩が重くる
おいおいおい、まじかよ・・・・
純平が目をつぶって俺にもたれかかっているのを
見ると、またキスしたい感情に襲われる
あー、なんで唇開けてねるかな
あー俺こんなんだったっけ
所詮は男。下半身に支配された生き物だよ、本当に。
俺は普段しないアプリのゲームを
ひたすらして、エレベーターが動くのを待った