S×強気で恋になる
第62章 旅行が教えてくれたこと
「純平・・・旅行してた?楽しかったか?」
純平の前にしゃがみ、手を握って目を見る
と泣き出しそうな顔をしていた
「・・・楽しくなかったのか?俺がいなかったからだろ。一人で旅行はつまんねーよなぁ。もう一回、俺とお前の行ったとこ、行こう。な?旅行、しよ?」
そう言うと、純平は小さく首を振る
「・・・・・も、帰る」
「・・・純平の産まれた大事な土地だろ?案内しろ。純平、俺と一緒に振り返ろう。な?大丈夫だから。な?」
「・・・・楽しくない」
「そーか?俺は気になるぞ。お前が幼い時に見た大事な景色だろ?ここで産まれ育ったから、今の純平があるんだぞ。ほら、おいで。」
そう言って手を引く
さっき雇った人からメールきてたんだ
お前が、生みの親の家に行ったこと
アパートを眺めていたこと
公園にいたこと
全部知ってる
過去は変えられない
でも、背を向けてばっかりじゃ
前にも進めない
俺と一緒にもう一回振り返ろう
絶対俺が見方を変えてやるから
俺がそばにいるから
それを乗り越えような
純平、その過去があったから
その生い立ちがあったから
俺たちは出会えたんだ
そう思ってくれ
そう思いながら、俺は純平の手を握り歩き出した