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S×強気で恋になる

第62章 旅行が教えてくれたこと


「・・・出てって下さい。」
「それは無理だな。真一にこれあげよーかな。疲れがとれる。」

何かをハンカチに染み込ませながら近づいてくる隆彦をじっと見ていた

そのままそのハンカチを
目を閉じて寝ている真一の
口と鼻を塞ぐようにくっつける

あ?!
これなんか、俺が小鳥遊に嗅がされたやつと似てる!!

やめろ!!

そう言う間もなく真一よりもガタイのいい隆彦が顔を抑え嗅がせていた

「んっ!!!・・・ふっ、・・んっ・・・ーーー」
「ちょ!!!本当に疲れとれるんですか?!」

「真一いい子だな。・・・横山さんさー。お兄さんの借金の肩代わりに大金で桜田家に買われたのに追ってが来ないのなんでだと思う?連れ去られそーになったのに、あれから音沙汰なしなのはなんで?」

「え・・・・・真一が・・」

「・・・いくら親父のお気に入りだからって、うちの会社を継がない真一に親父を動かして大金手に入ると思う?親父は金払う代わりに、医者辞めろって言うよなぁ?・・・言ってる意味わかる?」

俺のこと旅行って
迎えに来たんじゃなくて

俊哉のことも航平のことも知って
でも俺になんにも言わないで
来てたってこと?


金で買われて追ってが来ないのは


真一のおかげ・・・


チラッと真一に目を落とすと
顔が赤くなっていて
息がすごく荒くなっていた

「・・・俺になびかない真一がさー、頭下げんの。腹立つよね。こーゆーときだけさー。だから、まあいろいろ疲れさせちゃったけど。」
「・・・え?・・・」
「ほら、薬効いてきたみたい。真一の熱おさめてあげろよ。エッチしたかったんだろ?今ならし放題じゃねーか。楽しめ、な?」
「出てけよ。早く。お礼は言うけど、真一にこれ以上なんもすんな。」

「せっかく綺麗な顔してんのに、横山さん口悪いね。真一も苦労するよ。アメリカの病院も断っちゃうしさ、真一の人生潰す気?・・・・ま、俺も鬼じゃねーし、お前が自由になれたプレゼントだな。おまけにもひとつーってな?」

息が荒く汗ばんでいる真一にまた染み込ませたハンカチをあて

隆彦はニヤニヤしながら出て行った


反論も抗議も何もできなくて
傷跡なんて無いのに
心が抉られた気分で


俺はとりあえず乱れに乱れてる
真一の横に座りこんだ






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