
月夜の下で…
第2章 ~ 告白と嫉妬 ~
「えっあっ‥楼…!?」
あっという間の出来事で、なにがなんだかわからずあたふたする中…
楼と森崎先輩は、互いに一歩も引かず睨み合っていた。
「お前とそういうことし てたのは
オレと付き合う前の話 しだろっ
今はみちるの全部はオ レのものだ!」
間違ってはいないけど そんなはっきり言われ ると
すっごく恥ずかしいっ ‥‥
「今は‥ね…」
意味深にそう言うと、颯爽と屋上を後にして行った。
「…ねぇ…
そろそろ離してほしい んだけど…」
「やだっ
…なんで…
あいつとキスしてたん だよ‥‥」
今にも泣き出しそうな声…
楼は首筋に顔を埋め、抱き締めていた腕に力を込めた。
その温もりから、嫉妬と悲しみが伝わってきて、罪悪感で胸が苦しくなった…
「ごめんなさい‥‥」
ぼくのせいで楼を傷つ けたっ…
なんでっ
突き飛ばしてまで抵抗 しなかったんだ
…違う‥できなかった ‥‥
好意を持ってくれる人 をそんな風に突き放す なんて…
ぼくにはどうしてもで きない…
「みちるは‥優しすぎる だから―――…」
首筋から顔を離すと、楼は悪戯な笑みを浮かべた。
「みちるに近づく悪い虫 はオレが駆除するから !」
く‥駆除って…
でも…ちょっと嬉しい かも‥‥
「…キス‥してもいい? 」
「えっ…」
トクンと胸が高鳴り、頬を赤くさせながら楼を見つめた…
「消毒だ
あいつの嫌な臭いがす る」
「そんな臭いしないけど …?」
「オレにはすんのっ!」
そう言って楼は、唇を重ねてきた。
触れるだけのキスは、優しくて心地よくて安心感を与える―――…
唇が離れたかと思うと、今度は首筋にも唇が触れ、ビクッと体が跳ね反射的に固く目を閉じた。
「ろ‥楼…
そろそろ‥教室戻らな いとっ‥‥」
「チャイム鳴るまで離さ ない…
他の奴とキスした罰… 」
結局‥チャイムが鳴り終わるまで離してもらえず、困ったような嬉しいような昼休みだった…
