
月夜の下で…
第3章 ~ 愛しい人 ~
「てめぇっ
みちるになにした!! 」
怒りに満ちた目で睨みつけ、よく見ると爪が鋭く伸び‥口からは犬歯のようなものが見え隠れしていた。
「ぐっ…うっ‥‥」
ギリギリと首が締まり‥苦しさのあまり森崎は顔を歪ませた。
「楼っ!
もうやめてっ!!
…楼っ!!」
切羽詰まったみちるの声に、楼はハッと我に返りすぐに手を離した。
「ゴホッゲホッゲホッ」
「森崎先輩!」
苦しそうに膝を着く森崎先輩に駆け寄ると、首には爪が食い込んだ痕があり、その傷口からは少量の血が出ていた。
まるで獣に引っかかれ たよう‥‥
これ…楼が‥‥!?
楼に視線を向けると、さっきまでそこにいたはずの楼の姿はなく、代わりに騒ぎを聞きつけた先生達の姿があった。
「おいっ
どうした!?」
「早く救急車をっ!!」
「ゴホッ…その必要は‥ ないです‥‥」
「だが…その傷」
「自分で行くんで大丈夫 です…
…失礼します」
息を整えながらそう言うと、森崎は何事もなかったように行ってしまった。
楼‥‥
