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月夜の下で…

第3章 ~ 愛しい人 ~

 
 
昼休みの屋上…
 
森崎先輩が待つ中‥みちるがいそいそと現れ、緊張した面持ちで近づいた。
 
 
 
「来てくれたんだね
 月野君は大丈夫なの? 」
 
「少しなら‥‥あの…
 話しって‥‥?」
 
「手短に言うと
 月野君って人並み外れ てるよね
 片手で軽々と俺を持ち 上げたり
 
 それに‥獣に引っかか れたようなこの傷…」 
 
 
そう言いながら森崎先輩は、かさぶたになった首の傷を見せるようになぞった‥‥
 
 
 
 やっぱり‥楼のこと気 づいてっ‥‥
 
 
「みちるーーっ!!!」 
 
 っ!?
 
 
 
楼がダッシュで近づいてくる姿があり、みちるはドキリと心臓が跳ねた。 
 
 
「なんでこいつと会って るのっ?
 弁当に手ぇつけないで 待ってたのに‥‥」
 
「ご‥ごめんなさいっ
 その~‥‥」
 
 なんて説明したらっ… 
 
「きみのことを話してた んだよ」
 
「はあ?」
 
 
 
ギロッと、鋭い目つきで睨みつける楼…
それを見て、ニコッと嫌な笑みを浮かべる森崎先輩…
 
間に挟まれたぼくは、火花を散らす2人にどうしていいかわからず、おどおどした。
 
 
 
「きみって…人間離れし てるよね」
 
「なんだそれっ
 みちる‥教室戻るぞ」 
「う‥うん‥‥」
 
 
 
手を引かれて歩き出す際に、チラッと横目で森崎先輩に視線を向けると…いつもの優しい微笑みを浮かべながら、ぼく達の後ろ姿を見つめていた。 
その笑みはどこか怖く感じ、強い不安に襲われた―――…
 
 
 
 
 

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