
月夜の下で…
第3章 ~ 愛しい人 ~
街灯が照らす夜道を、2人は手を繋いで歩いていた。
やっぱり…まだ体がフ ラフラするし
思うように足に力が入 らない‥‥
「みちる?
どうした…?」
異変に気づいた楼は足を止め、心配そうに見つめた‥‥
「ちょっと‥まだ体が動 かなくて‥‥」
「…じゃあっ」
何か思いついたかのように、軽々とみちるをお姫様だっこした。
「えっ!?ちょっ‥‥」
「しっかり捕まってろよ ♪」
ニコッと明るい笑顔を向けた瞬間…
突然物凄い速さで走り出し、反射的に力いっぱいしがみつき、固く目を閉じた。
「とーちゃーく!」
え…もう‥‥?
恐る恐る目を開けると…目の前にひまわりがあり、ボー然としながら地面に足を着けた。
「驚いたっ?」
「かなり…
誰かに見られなかった ?」
「大丈夫っ大丈夫っ
速すぎてわかんないか ら!
んじゃっ
さよならのキス♪」
本当に大丈夫なのかな …?
心配をよそに、唇を重ねてくる楼…
惜しむようにそのまま抱き締められ、みちるもその広い背中に腕を回した―――……
「ふ~ん…
狼人間‥ねぇ~~」
ズラリと一面に本が並んでいる書斎…
森崎が一冊の本を片手に、嫌な笑みを浮かべていた。
…みちるは絶対に渡さ ない―――…
