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月夜の下で…

第3章 ~ 愛しい人 ~

 
 
翌日…
 
丁度いい暖かさの中、屋上で弁当を広げているみちる…
その横で、待ちきれなさそうに見つめている楼の姿もあった。
 
ふたを開けると、酢豚やチンジャオロース・エビチリなど、中華風なおかずが詰められていた。
 
 
 
「みちるって中華も作れ るのっ!?」
 
「素使ってるからたいし たことないよ」
 
「そんなの関係ないって !
 いただきまーす♪」
 
 
 
嬉しそうにはしを伸ばす楼に、思わず笑みがこぼれた―――…
 
 
 
 
「楼って玉ねぎ嫌いなの ?」
 
 
 
酢豚に入っている玉ねぎだけよけて食べるのを見て、首を傾げた。
 
 
 
「オレ…狼だから玉ねぎ 系はちょっと…
 ちなみにチョコレート もダメなんだ」
 
「そう‥なんだ…
 作るとき気おつけるね 」
 
 人狼って…人と‥少し かってが違うんだなぁ ‥‥
 
 
 
突然…ガチャリと屋上のドアが開き、本を片手にした森崎先輩が入ってきた。
 
 
 
「偶然だね
 今日はここでランチ? っていうか‥なんでジ ャージなの?」
 
「まあ‥ちょっと…
 森崎先輩はどうして… 」
 
 まさか…また楼になに かっ‥‥
 
 
「昼休みは
 いつもここで本を読ん でいるんだ」
 
「そう‥なんですか」
 
「みちるっ
 場所変えよう!」
 
 
 
面白くなさそうにそう言いながら、楼は立ち上がった。
 
 
 
「その必要はないよ
 俺は他行くから
 でも‥会ったついでに 月野君に少し話しがあ るんだけど
 …ちょっといいかな? 」
 
 
 
ニコッと、いつもの優しい笑みを浮かべる森崎先輩…
楼はめんどくさそうに、森崎先輩に近づいた―― 
 
 
 楼に話しって‥なんだ ろう‥‥
 
 
「渡したいものがあるん だ」
 
「なに?」
 
「これだよっっ!!」
 
 
 
グサッと‥楼の腕に、勢いよく注射器を突き刺した―――
その直後、楼の顔色はみるみるうちに悪くなり、苦しそうに力なく膝をついた。
 
 
 
 
 

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