
月夜の下で…
第1章 ~ 初恋 ~
「ぐっ…」
何かを殴ったような鈍い音と共に、男は力なく地面に倒れた。
えっ…?
「大丈夫か?」
明るい男の声…
上半身を起こして見上げると、長身の美少年が心配そうに手を差し伸べる姿があった。
年下っぽい雰囲気とは逆に、筋肉質でデカい図体で迫力がある。
少し切れ長で金色の目が特徴的で、野性的なカッコ良さだ。
栗色の髪は耳に掛かる程度で、前髪は目の高さまである。
薄手の白い長袖にジーンズと、まだ冷え込む夜には少し寒そうな格好だ。
その差し出された手を取り、ゆっくりと立ち上がった―――
「助けてくれて
ありがとうございます 」
「ケガなくてよかった
こいつ‥どーしよっか ?
普通にケーサツ呼んで もつまらないよなぁ」
美少年は、悪い笑みを浮かべながら気を失った男に視線を向けた。
なんか嫌な予感…
「よし!
じゃっ帰るか」
満足げにそう言うと、悪戯な笑みを浮かべながらこっちを見た。
男は全裸にされた姿のまま電柱に縛り付けられ、ナイフと服はきちんとその横に置いてある。
凄いバードないたずら だなぁ…
凍死しないよね…?
その可哀想な姿に苦笑いし、みちるは少し同情してしまった。
「危ないから
送ってやるよ!」
「えっいや…
そんなに遠くないから 大丈夫ですっ」
「遠慮すんなって!」
ニッと明るい笑顔で腕を掴むと、そのまま歩き出してしまい強制的に送ってもらうけとになった。
