
月夜の下で…
第4章 ~ 白銀(ハクギン)の狼 ~
「ほら‥着いたぞ」
ゆっくり目を開けると…どこかの高層ビルの屋上にいて、空には月と無数の星が輝いていた。
「キレ~イ!」
「今日は‥月と星がきれ いに見える…」
「もしかして…
これを見せるために… ?」
「点数稼ぎだ」
愁さんって…
口は悪いけど‥そんな 悪い人には見えない… 人を殺したって…本当 なのかな‥‥
ジッと‥綺麗な横顔を見つめていると、愁さんもこっちを見て目が合った。
「俺に見とれてた?」
「ちがっ…ただ‥‥」
なにか言いたそうにしていると、先に愁さんが口を開いた―――
「楼から‥俺のこと聞い たのか?」
「はい…」
「…ふ~ん‥‥
人を殺したのは嘘じゃ ねぇよ」
「っ!?」
「俺の…最大の過ち‥‥ 」
「愁さん…?」
強く後悔しているような素振りを見せる愁…
なんとなく‥雰囲気で そういう顔‥しないと 勝手に思い込んでた‥ ‥‥
「…なぁ…
なんで俺はさん付けな んだ?
それに敬語もいらねぇ しっ」
「えっ…いや‥‥年上だ から…」
「今すぐやめろ
…じゃねぇと‥ここで 犯すぞ」
妖しげな笑みを浮かべ、その綺麗な顔が近づいて来る‥‥
「えっ‥ちょっ…!」
身の危険を感じ暴れるみちるだったが、愁はお姫様だっこしたまま離そうとしなかった。
「そんな抵抗されると‥ 余計襲いたくなるなぁ 」
「さん付けもっ
敬語も使わないから
もういいでしょっ!? 」
焦る姿に、愁はクスッと笑い顔を離した。
「お前って‥ほんと面白 れぇーよな
今日のところは
しょーがねぇから帰し てやるよ」
楽しそうに話す愁…
みちるはホッとした様子で、その横顔を見つめた。
なんか‥最初の印象と 違うなぁ~…
愁さんを怖がってる楼 と‥そのほかの狼達も みんな誤解してる気が する――――‥‥
