月夜の下で…
第4章 ~ 白銀(ハクギン)の狼 ~
朝…
ベッドの中で、みちるは目を覚ました。
その瞬間、愁の綺麗な寝顔がアップで入ってきて、驚きのあまり言葉を失ってしまった。
えっえっ!?
なんでっっ!?!?
そういえば昨日…
送ってもらってる途中 寝ちゃってっ‥‥
っていうか‥抱き締め られてて身動きとれな いし
「みちるくん?
いつもの彼が迎えに来 たわよ?」
えっ!?
もうそんな時間っ!?
ドア越しから聞こえる施設の人の声に、慌てて愁から離れようとするが、しっかり抱きかかえられていてビクともしなかった。
「ねぇっ愁っっ
起きてよっ!!」
「ああ…?」
「みちるくん?
具合でも悪い…の…」
「あ゛…」
ドアが開けられ、施設の人とみちるは目を合わせたまま固まってしまった。
「みちるくんっっ!?」
施設の人の声が響き渡った…
同時に、楼が怖い顔をして部屋に飛び込んできた。
「みちるっっ
無事…か‥‥」
「ろっ楼っっ」
この状況‥ヤバすぎっ …
勢いよく飛び起き、慌ててベッドから降りた。
「愁さんの臭いがしたか ら慌てて来てみればっ ‥‥」
ギュッと、力いっぱい拳を握り締める楼…
「楼っ‥これは―――」
訳を言う間もなく、楼は部屋を飛び出してしまった。
その姿を見て、愁は勝ち誇ったような笑みを浮かべながらベッドから降りた。