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月夜の下で…

第4章 ~ 白銀(ハクギン)の狼 ~

 
 
放課後…
 
足早に学校を後にするみちるの姿があり、ふと門の所でキャーキャー騒ぐ女子達の群れが目に入った。
 
 
 
 嫌な予感‥‥
 
 
「ようっ‥みちる」
 
 
 やっぱり…
 
 
 
門を通り過ぎようとした時、群の中から愁が現れ近づいてきた。
 
集まっていた女子達の痛い視線が突き刺さる…
 
 
 
「ちょっと付き合えよ」 
「あ…これから楼のとこ 行くからっ」
 
「あんな理性抑えられな い奴なんてほっとけよ 
 俺の方が…あいつより 上だ」
 
 
 自信に満ちた目…
 …確かに‥次のリーダ ーに選ばれるくらいだ から
 楼よりも強いんだろう なぁ‥‥
 
 それに…
 完璧な容姿とスタイル ‥‥
 楼もカッコイイけど… 
 
「あなたが噂の‥‥」
 
 
 
後ろから森崎先輩が近づいて来る姿があり、間に割って入るように愁の前で立ち止まった。
 
 
 
 森崎先輩‥‥
 
 
「なんだてめぇっ」
 
「みちるに‥幸せになっ てもらいたいと想って る人‥‥とでも言って おこうかな」
 
 
 
鋭い目で睨む愁と、ニコッと笑みを浮かべる森崎先輩‥‥
 
ピリついた空気が漂い、ぼくと周りにいた他の生徒達は2人に注目した。 
 
 
「どけよっ
 負けた奴の出る幕じゃ ねぇーっ」
 
「フッ…負けた奴ねぇ… それは…あなたも同じ ですよ」
 
「ああっ!?
 意味わかんねぇこと言 ってんじゃねぇーよっ !」
 
「みちるの心には月野君 しかいない‥‥
 
 あなたも‥俺も…
 入り込める隙はないん ですよ」
 
 
 
そう言った瞬間、愁は突然森崎の首を勢い良く掴んだ。
 
 
 
「先輩っ!」
 
「黙れよ
 人間ごときがでしゃば んじゃねぇーっ!
 …殺すぞ‥‥」
 
 
 “人を殺したのは嘘じ ゃねぇよ”
 
 
「やめてっっ!!」
 
 
 
愁が言っていたことを思い出し‥みちるは必死にもう片方の腕を掴み、涙目で見つめた‥‥
 
 
 
 
 

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