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月夜の下で…

第4章 ~ 白銀(ハクギン)の狼 ~

 
 
 
「‥‥‥」
 
 
 
その姿に、愁は無言で手を離すと静かに2人の前から去って行った。
 
 
 
「先輩っ
 大丈夫ですかっ!?」 
「うん…ただ掴まれただ けだから
 もう‥そんな顔しない で」
 
 
 
そう優しく言うと、今にも零れ落ちそうな涙を指でそっと拭った‥‥
 
 
 
「俺は…みちるが笑顔で いてくれるならそれで いいんだ‥‥
 
 …好きだよ…
 今も‥その気持ちは変 わらない」
 
「先輩‥‥」
 
「月野君の家まで送るよ そのくらい‥させて? 」
「あ……じゃあ‥お願い します‥‥」
 
 ぼくって‥なんでこう いうのに弱いんだろう …
 
 
 
 
 
 
 
 
2人は並んで歩いていて、みちるは横顔をチラ見した。
 
 
 
「あの‥‥さっきはあり がとうございました」 
「いいんだよ
 正直‥‥
 下心があって‥あんな ことしたんだけどね」 
「え…?」
 
「君のことあきらめたつ もりなのに‥‥
 心のどこかで‥もしか したら振り向いてくれ るんじゃないかって思 ってたんだ‥‥
 
 みちるの気持ちはわか ってるのに―――…」 
 
 森崎先輩‥‥
 
「…きっと…森崎先輩に も運命の人が見つかる と思います!」
 
「ありがとう…
 みちるは‥本当に優し いね」
 
 
 
ニコッといつもの優しい微笑みを浮かべる森崎先輩に、みちるは少し安心した。
 
 
 
しばらく歩くと楼のアパートが見えてきて、みちるは立ち止まった。
 
 
 
「送ってくれて
 ありがとうございまし た」
 
「少しは役に立てたみた いで嬉しいよ
 …じゃあね」
 
 
 
微笑みながらみちるの頭を一撫ですると、来た道を戻って行った。
 
そんな後ろ姿を見つめた後、またアパートの方へ歩き出した。
 
 
 
 
 楼…いるかな…?
 
 
 
部屋の前まで来ると、緊張した手つきでインターホンを押した。
 
だがしばらく待っても何の応答もなく、ドアノブに手を掛けてみるが、鍵がかかっていた。
 
 
 
 まだ帰ってないのかな ?
 
 
「みちる」
 
 
 
聞き慣れた声に、ハッと振り向くと‥‥
 
 
 
 
 

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