
月夜の下で…
第1章 ~ 初恋 ~
その後…
楼からの連絡はなく、あっという間に春休みは終わってしまった…
入学式のために、制服姿のみちるは一人で通学路を歩いていた。
結局…
楼が来ることなかった なぁ…
連絡先も知らないし
からかわれただけなの かな……
抱き締められた光景が頭をよぎり、寂しさと苦しさが入り混じった。
「みちる―――っ!!!」
遠くから聞こえてくる明るい声…
ハッと振り返ると、同じ制服姿の楼が満面の笑顔で駆け寄って来る姿があった。
Yシャツのボタンはきちんと上までとめていなく、ネクタイも緩めで少し着崩していた。
「楼っ!?
その制服っ…」
「言ってなかったっけ? オレ、みちると同じ高 校に入学するんだぁ! 」
「そう‥なんだ」
「ずっと連絡しなくてご めん
引っ越しとかでワタワ タしてて
…それに…
みちるの番号聞くの
すっかり忘れててさぁ ~
あはは」
「そうだろうと思った」
楼の純真無垢な笑顔に、みちるは自然と顔が緩んだ。
2人は並んで歩き始め、不意に楼はみちるの手を握った。
あ…
胸の高鳴りと共に一気に顔が赤くなり、それを隠すように俯いた。
「同じ方向だから一緒に 行けるな!」
「えっ‥そっそうだね」
ん?
楼って‥一つ年下なん だ
見た目すごい逞しいか ら上か同じくらいかと 思ってた…
