月夜の下で…
第6章 ~ 想いの果てに ~
いてもたってもいられ なくて来ちゃったけど ‥‥‥
2時間かけて愁の家がある森に辿り着いたみちるは、右も左もわからず森の中をさ迷っていた。
ここ‥どこだろう…
完全に迷っちゃった
何回も来てるから大丈 夫だと思ったんだけど ‥‥
歩いても歩いても、似たような景色…
風で木々が揺れる音と、鳥のさえずりが聞こえる―――‥‥
ここじゃなかったのか な…?
森を出ようにも‥方向 が全くわからないし…
…どうしよう‥‥
途方に暮れていた、その時…
突然二匹の狼が、木々を倒しながら転がって来た。
っ!?
楼っ!!愁っ!!
2人とも‥すごい傷…
二匹は、みちるに気が付くと遠ざかるようにどこかへ行ってしまった。
だがみちるは、息を切らしながらその後を必死で追い掛けた。
ぼくが巻き込まれない ように
離れて行ったんだろう けどっ…
…ぼくには‥見届ける 義務があるっ‥‥!!
一瞬二匹の姿を見失ったが、真っ直ぐ突き進んで行くと‥‥
うなり声を上げ、にらみ合っている二匹の姿があった。
みちるは、気付かれないように木の陰に隠れ高まる緊張の中見守った。
二匹は同時に飛びかかっていき、激しい争いを見せる。
ほぼ互角に見えるが、楼の方が傷が多く息も上がっていた。
楼っ…
やっぱり‥愁には適わ ないの…!?
愁の鋭い牙が容赦なく襲いかかり、楼はギリギリのところでかわすなりすかさず反撃に出る。
攻撃をする度、二匹の傷は増え毛は血で染まっていった。
その痛々しい姿に、みちるの目から涙がこぼれ落ちた‥‥
泣いちゃだめだっ
…ちゃんと見ないとっ ‥‥‥
涙を拭った、その時…
どこからともなく飛んできた矢が、連続で愁の背中に命中した―――