月夜の下で…
第6章 ~ 想いの果てに ~
40代後半くらいで、190cm以上はありそうな筋肉質な大柄の体つきをしている。
切れ長の褐色の目をしていて、カッコイイおじ様風の顔立ち。
白髪混じりで明るめの茶色い髪は、オールバックにしていて黒いスーツとよく似合っている。
「ゲホッゴホッゴホッゲ ホッ」
ドサッと力なく地面に膝をついた森崎先輩は、首を押さえながら苦しそうな顔をしていた。
「親父‥‥」
「様子を見に来てみれば …
これはどういう事だっ
仲間を傷つけるとは… まして‥人に危害を加 えるなんてもってのほ かだっ!」
目を鋭くさせ怖い顔をする父に、愁はチッと舌打ちした。
この人が‥愁のお父さ ん…?
「先輩っ‥大丈夫ですか っ!?」
「ゲホッ…一応‥ね…ゴ ホッ‥‥」
「ただの勝負だっ
…で‥思わぬ邪魔が入 っただけだ‥‥」
額に汗を滲ませ、体を大きくグラつかせる愁を父がそれを受け止めた。
「毒か…」
「これくらい‥たいした ことねぇー‥‥」
「愁っ…」
今にも泣き出しそうなみちるを見て、愁は口元を少し緩めた。
「そんな顔すんなよ…
死にゃあしねぇから‥ ‥‥」
「もしかして…
君がみちるくんか?」
「えっ‥はい…」
「楼くんが
血相変えて家を訪ねて 来た時に聞いたよ
息子が‥色々すまなか ったね」
「いっいえっ‥そんなっ …」
「ゆっくり話しをしたい ところだが…
息子を連れて行かない といけない
明日にでも家に遊び
に来なさい
楼くんと‥そこの人間 も…
では、失礼する」
礼儀正しく軽くお辞儀した後、グッタリとした愁を肩に抱えてもの凄い速さで去って行った。