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好きな人がいた

第3章 中学三年生

『彼女に距離をおかれた。友達なんていない』
そう言って彼は泣いていた。
学校に来なくなったのもまわりの目が怖いからだと。
私は励ますことしかできなかった。
毎日夜遅くまでメールして、たまに電話で彼の話をひたすら聞く。
ほとんどが愚痴のようなものばかりで、たまに彼は『死にたい』と言った。
私は、相当なストレスを抱え込んだ。
彼と時間を共有すればするほど泥沼に沈んでいくようだった。
最終的に『ああ、じゃあ私が一緒に死んであげればいいんだ』という発想がなんのためらいもなく出てくるようになった。
たぶん軽い共依存のような状態だったのだと思う。
彼が私に何を望んでいるのかわからなかったけれど、彼が望むなら何でもしようと思っていた。
いつの間にか、私は彼を心から愛するようになっていた。

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