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“好きなところ”

第2章 Dye D?

「用事用事って…。最近全然あえてへんし。」

さすがに何回も連続で断られれば腹が立つらしく、誘いを断られた携帯のメールを開きながらぶつぶつと文句を垂れ流していた。

「信ちゃんが忙しいゆうねんからしゃあないやん?」

せっかくちょっといい感じのフランス料理を食べにきたのに、亮が三人揃ってないと嫌やとかって言い出して、結局僕と亮の二人でフランス料理のお店の近くに屋台を置いてたラーメン屋にいた。

「…ほんまに、全部用事なんかな…。俺らとおりたないとかってないんかな?」

やけ食いに等しい勢いでラーメンを食べ終えた亮は波打つスープを見ながら小さく呟いた。

「そ、そんなんちゃうやろ!!僕ら信ちゃんになんかした?」

ラーメンをつまらせそうにしながら反論した僕に少し冷たい目線が向けられた。

「俺らがなんもしてないつもりでも、村上くんからしたらなんかあったんかもしれん…。」

亮は携帯を取り出せば、おもむろに電話をかけた。

「…あ、村上くん?…ごめんな、忙しいのに。……いや、何してるんかなぁって。」

何を話そうとしているのか、気になって気が気でなく、細い麺ですら喉を通らない。

なんとか水を飲み干して喉を開ければ、すぐ後ろを焼きいもの車がのんびりとした声を出しながら通っていった。

その声は無情にもまるで僕ら三人を引き裂くように、耳に残った。

しばらくして電話を切った亮はしばらく考え込んでまだ食べている僕をおいて店の外へと出ていった。

僕は残ったラーメンを喉につまらせながら無理矢理飲み込めば、代金を机に置いて亮のあとを追いかけた。

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