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背徳の雨

第4章 歪んだ愛



雫に見つからないよう身を潜め
いきつけのネットカフェへ向かう。
今日はフラット席が空いていた。
仲の良い黒縁眼鏡の店員さんに
席を取って貰う。
フラット席へつくと
豹柄のキャリーバッグを
デスクの奥にしまい、寝転んだ。
しばらく物思いに耽っていると
急にタバコが吸いたくなり
ポケットの中を探す。

ない。
どこを探しても見つからなくて
仕方なく財布と携帯だけを持って
タバコを買いにいく事にした。


ネットカフェの前にある、
ファミリーマートのタバコの自販機。
お金を入れ、
セブンスターのボタンを押そうとした時

後ろから手が伸びてきて
私よりも先に
セブンスターのボタンを押した。
その瞬間、ふわっと
嗅ぎ慣れた香水の匂いがして、
振り返ると

「雫…」

彼はタバコを自販機から取ると
私の手首を握って
力任せに引っ張った。

「ちょ…どこいくの?!」

彼の表情は険しかった。


三ツ寺。
サークルKを早歩きで横切る。
そして大きなビルの
エレベーターへ乗せられ
終始無言。
エレベーターが上がり、
扉が開くとそこはホストクラブ。
店の前には
“氷城 雫”と書かれていて
ここは雫が働く、
ホストクラブなんだと悟る。
彼は私を席に座らせ

「何故逃げた」

どす黒く這うように低い声音。
彼の怒りをピリピリと身体中に感じ
私の身体は強張る。

「お前は俺のものなのに」

黒い独占欲。
異常なまでに私に執着し
彼は壊れていく。

「違う」

冷静に否定すれば
まるで毛を逆立たせ、
牙を向く猫のように
彼は怒りを剥き出しにした。

「黙れ」

彼は私の首を締め上げる。

「ぐ…っ」

目を細める。
彼の瞳が見えた。
初めて会った時より
どす黒く、歪んでいた。

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