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背徳の雨

第4章 歪んだ愛



黒い闇から連れ戻す、声。
優しいこの声は

虎太郎?

目を覚ますと天井には
きらびやかなライト
賑やかな音楽
ここはホストクラブ。
どれくらい気を失っていたのだろうか。
私の身体に血の気が戻り
身体が温かくなる。

「馨ちゃん、大丈夫?」

虎太郎は心配そうに私を見つめていた。
私は大丈夫だよと笑って見せる。

「…雫は?」

隣には雫が居なくて辺りを見渡す。

「他の客の相手してるよ」

虎太郎は
呼んでくるね、と一言言うと
立ち上がった。


しばらくして雫が現れた。
その表情は清々しいような、
さっきとはまるで違った。
私の隣に座ると

「俺の客の未収、払ってくれない?」

今まで彼はこんな事を言わなかった。
人が変わったように
声音を変えた彼が怖かった。

「え?」

私はよくわからなくて
もう一度聞き返すと
彼は険しい表情になり、怒りを露にした。
その表情を見て
拒否権はないのだと知る。
だが私はさらさら払う気はなくて
その場は承諾したが逃げる事を決意した。


いきつけのネットカフェ。
雫の連絡先を拒否し
うとうとと眠りにつこうとしていた。
眠い目を擦り、寝返りを打つ。
入り口の扉の方を向くと
誰かが下から覗いていた。
その誰かと目があって
私は驚き、飛び起きた。

「雫…?!」

雫が扉の下から
まじまじと此方を睨んでいた。
私が名前を呼ぶと彼は
勢いよく扉を開き、
私を力づくで引きずり出した。

「…何をしてる」

彼は私のいく場所を知ってる。
どこに居たって私を見つける。
私に逃げる場所はないのだと知った。

私はすぐにテレクラで男を探す事にした。
30分くらいかけただろうか。
いつもより案外早く見つかって、
御堂筋のスポーツタカハシの前で
待ち合わせをした。

現れたのは案外若い男性。
見た目は普通。
何の突っ込みどころも掴み所もない感じ。

「初めまして」

丁寧に挨拶をして自己紹介を済ますと
彼は私を自宅へ招待した。

この時
私はまだ知らなかった。
こんなにきつく、
怖い事が起こるなんて。

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