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背徳の雨

第5章 儚く、脆く



竜也は白狐の髪を掴み、
壁に向かって放り投げる。
白狐はバランスを崩し、
竜也の思惑通り壁に倒れ込む。
その瞬間に棚から物が落ちて
物凄い音が響いた。
私はそれに驚いて身体を縮こませる。

竜也は鉄パイプを片手に
力一杯白狐を叩き付けた。
その度に生々しい音が響いて
余りにも凄い光景が繰り広げられ過ぎて
私は悪い夢でも
見ているのではと思ってしまう。

白狐は血を流し
部屋は血生臭くなる。

殴られる度に吐血する白狐。
彼は竜也に反撃する所か
抵抗さえしない。

余りの苦痛に絶叫する白狐。

映画やドラマでしか
こんな光景見たことない。
余りの恐怖に激しい目眩がする。

白い壁は紅黒く染まっていく。

恐怖で目を閉じても
彼の断末魔のような絶叫が聞こえて
悪寒がする。

助けに行きたいのに
私の身体は恐怖で動かない。

でも、早く助けないと
死んでしまう…!

白狐の方がもっと怖い思いをしている…
だから怖いなんて言ってられない…!

私は走り出していた。

「やめて…!!」

私は竜也と白狐の間に入り込み、
白狐を抱き締めた。

「…っ!」

竜也が力一杯降り下ろした鉄パイプは
私の背を殴った。
余りの痛みに
唇を力一杯噛み締め、堪える。

「殴りたいなら…
私を殴ればいいじゃない!」

そう。
全部私のせいだから。
でも竜也は鉄パイプを置き
足早に寮を出ていった。

その後ろ姿に殺意を感じ
鉄パイプで殴ってやろうかと思ったが
ぐっと飲み込み、我慢した。

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