caramel
第2章 導
‥岡崎
まだイかないか
ふと幸也が時計をみると、
時刻は既に18時をまわっていた。
「ここで残念なお知らせがあります」
少し悲しそうな表情の保険医。
突然の宣言に驚いた二人。
「えっ!?…先生、どういう事ですか」
『何で、残念なんですか?』
二人の問いに口角を上げる保険医。
「岡崎のイくとこを見てから帰ろうと思ってたんだけどね?もう学校出ないと約束に間に合わないから」
‥あの女とヤるくらいなら
コイツら見てた方がよっぽど面白い
そんな事を思っていると、
唐澤が困った表情になっている。
「唐澤?心配しなくても、保健室使っていいぞ。…しっかり後処理しとけよ。」
「それとも何だ?挿入のレクチャーして欲しかったか」
‥何でまだ
唐澤は困ってんだ
後何かあったか?
「いや…先生、女の人に会いに行くんですよね?」
「まぁな」
黙ってしまった唐澤の代わりに岡崎が言葉を紡ぐ。
『先生、その人を好きじゃないですよね。だって哀しそうな顔してましたもん』
‥お前等の得意科目は
俺の苦手科目だよ
「俺には愛なんて必要ねーの。心配すんなって」
‥生徒に心情見抜かれてるんじゃ
俺の表情まだまだ甘いな
poker faceは難易度が高い。
唐澤に保健室の鍵を投げ渡す。
「し終わったら職員室の俺の机の上に置いとけ」
保険医は扉を開き、外に出る。
そして、扉がゆっくり閉まっていく間に、二人に一言。
「明日、結果報告宜しく」
返事は無かったが、きっと聞こえているだろう。