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caramel

第1章 欺

唐澤に、“ゆず”と呼ばれたその生徒は、生徒会のバッジをつけていた。

『郁人くんっ…』

潤んだ瞳で郁人を見詰め、
何か言いたげな表情をしている。


‥あ
此奴が唐澤の彼女
多分そうだろ



『わ、私…処女っです!!』

そう言った彼女の顔は羞恥で真っ赤だ。



「俺も…童貞だよ?」

不思議そうな表情の唐澤。


‥馬鹿か唐澤
彼女の言葉の本意を読み取れ



お互いの気持ちが伝わらない事にもどかしさを感じてか、二人とも俯いてしまった。


‥一応保険医だし
手伝ってやるとするか



でも初体験が3Pってのは可哀想だな。

俺は手を出さずに口出しだけしようと心に決めた。


‥何かこの二人、
純粋過ぎてつまんねぇし?





カチャリ

二人は顔を上げた。

そして保険医が、
保健室の鍵を閉めた事に気がついた。



「楽しい事、教えてやるよ」

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