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絡まる意味

第1章 絡まる意味

「…いやや。やっぱり男連れ込んでんねんやろ!?どこに隠してんの?」

「どうしてん?俺が男…てゆうかヨコを家に呼ぶんはいつものことやろ?今日は仕事やからおらんけど。」

俺…?男を連れ込むんがいつものこと…?ヨコ…?横山裕か?

「なんか俺が彼女みたいやん。心配してくれるんは嬉しいんやけどさ、なんかやりすぎちゃう?」

「…やり過ぎなんかないよ。だって信ちゃんは僕の彼女やん!!」

「はっ!?ちょっと待って!!大倉落ち着いて!!」

僕はいつだって冷静や。おかしいやん。女の子やのに俺って言ったり、横山くんを家に上がらせたり、何より僕を避けてる。

「信ちゃんは僕にゆうたやんな。大倉の彼女にならなってもいいって。」


それは雑誌の撮影で僕と信ちゃん…あ、まだ彼女じゃないから村上くん。ふたりで女装して写真を撮った日。

村上くんは自分の女装がずいぶんと気に入ったみたいで、僕が着替えをはじめてもしばらく鏡の前でニコニコしてた。

「俺、めっちゃかわいくない?」

「うん。かわいい。」

「やんな?やっぱ俺さすがやわ…。」

クルッと回ってスカートをひらつかせたり、上目使いで鏡を見たり、僕を見たり。

その時に記念に撮ってと言われて二人で顔をくっつけて写真を撮った。

「村上くん、本物の女の子みたい。」

「せやろ?自分で自分に惚れてまうわ。」

「僕も村上くんに…惚れたかもしれん。」

「そう?大倉やったら…ええよ。俺が女の子になったら付き合ったろ。」

「え?横山くんは?」

「…あいつは俺を男として好きでいてくれてんねん。女やとまた話しちゃうやん。それに、もし俺が女やったらヨコよりイケメンの大倉に行くかな。」

「ほんまに!?めっちゃ嬉しい!!」

僕らは強く抱き締めあい、喜びを分かち合った。

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