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絡まる意味

第1章 絡まる意味

「あの時のこと、忘れたん?」

「いや、忘れてはないけど、女になるわけないやん。」

バラエティーに数多く出ていて、MCもできてしまう信ちゃんだから、とっさの頭の回転が早い。何食わぬ顔で答えて見せる。

でも僕は知ってる。かなり動揺してるはず。

「そのあり得ないことが起きていたとしたら?」

「は?」

僕は信ちゃんの胸を強く押した。


呆気なく床に倒れる。

痛みに胸を押さえて顔を歪める。

「なんでそんなに痛いんやろ?」

倒れた体に又借り上から見下ろせば、強く睨んでくる。

僕は手を無理矢理はがし、持ってきた紐で側の机の足と固定した。

「ちょっ!?なにすんねん!!」

鍛え上げた自慢の筋力も、女性の体になれば役に立たない。

簡単に上の服を脱がせると、胸には包帯がきつく縛られていた。

その包帯もとってしまえば、窮屈に納められていたふっくらとした胸が僕の前に姿を見せた。

「なら、これはなに?」

「……まさか、昨日俺になにしてん!?」

さすがは僕の彼女。勘が鋭くて物分かりがいい。

「昨日のお酒にネットで試供品として販売されてた性別変換薬をいれてみてん。試供品やったからちょっとずつにしようと思ったらガバガバ飲むから…。かなり薬取り込んでたで。」

「戻せ。元に戻せ!!」

女性になったのは体だけで、顔も、性格もまったくかわりない。

こんな状況下にいても強気で歯向かってくる。

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