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絡まる意味

第1章 絡まる意味

「なあ、大倉。俺の…。いや、私のどこが好き?」

「え?えっと…。かわいいとこ。」

「…そうなんや。」

手首に紐の跡がくっきり残っている。

その腕が僕の背中にまでのびてきてそっと絡まる。

グッと引き寄せられた体で、信ちゃんの胸を潰した。

「私も、忠義のカッコいいところが好き。」

いままで聞いたことのない言葉に言葉を失った僕の腰に足を巻き付けられた。そしてグッと足に力が入るとそのまま信ちゃんの奥へと押し込められた。

無理矢理入れられた場所は微かにちぎれる音を放ち、悲鳴にも似た信ちゃんの声が強く抱き締められた腕と共に僕を締め付ける。

「…なっ…なんで!?」

「…そんな…もんやねん…。俺らって…。」

熱い吐息の間から微かに聞こえた。

「どうゆうこと?」

「俺さ、ヨコにフラれてん…。」

痛みに耐えながらゆっくり口を動かしてくれた。

「あの撮影の日の三日前。…いつまでも…この関係をっ…続けてたら…俺に迷惑がかかるって…。」

抱き締める腕の力が強くなる。

「俺は…それでもよかったのに…。お互い…散々迷惑ぅ…かけてきたのに…今更…」

また泣きそうなのを必死に耐えてるのが全身で感じられた。

「あん時…ほんまに…女になれたら…ほんまに…大倉と…付き合えたらって…考えてた。でも、間違いやった。」

そこまで言い終わると足の力が緩んだ。

「俺は…本気でヨコのこと好きやった。せやのに、フラれたからって…ちょっと甘いこと言われたからって…俺は…大倉に…逃げたんや。」

「でも、それは僕が無理矢理に…」

「違う。あん時、正直に、お前と付き合われへんって言っとけば…。ヨコよりイケメンの大倉の方がいいなんて言わなければ…。」

こんなに弱音を吐かれたら、今更どうしようもないのに、強い後悔だけが虚しく心を締め付ける。

「所詮、俺も、大倉も、見た目だけやねん。好きなんは。そして、それだけで、寂しさを埋めるだけのために体を寄せあってるだけやねん。」

「村上くん…。」

「今はその呼び方はあかん。」

目を細くして八重歯を出して笑う。ただそれだけなのに、言い様のない虚無感が襲う。

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