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白雪姫

第1章 白雪姫


水を飲んだ跡はなく、部屋の中央で横を向いて丸くなっている。

「このリンゴと絵本どっから持ってきてん。」

絵本を手に取り、後ろを見ると、下手な字で「まるやま りゅうへい」と書かれていた。

「これ…自分の家から持ってきたんか。」

しかしなんで持ってきたのか。なぜこんなに酔っぱらった状態で家に上がってきたのか。

元々からまるのことはようわからんと思ってたけど、今回はわかろうとすることさえ面倒臭くなった。

仕方がないのでこのままほっとくことにした。

机の上の水を飲んで、コップをシンクに置き、ソファーに座る。目の前ではお姫様気取りの男が相変わらず般若みたいな顔をして寝ている。

「こんなとこにおられたら邪魔やな…。」

しかし以外に“がたい”のいいまるを持ち上げるのはかなり苦労する。

いったん起きさせて自分でベットに…いや、ベットは俺が使うから寝室の床にでも移動してもらうしかない。

「まーるー。もしもーし…。」

いくら声をかけても起きてくれそうにない。

まさか起きているが寝てるフリをしてるなんてことはないよな?

ほほをつねってみても変わらない。

これは寝てるフリはしてないようやな。

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