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白雪姫

第1章 白雪姫

「そんなこと言わんと~。ほら、待ってんで。」

「いらん。起きてこやんでいい。朝までここおいといたるから。」

俺は寝室に向かった。すると手を握られて動きを止められた。そしてそのままスッと後ろに引っ張られてすばるくんの胸に体を寄せた。

「その気がないんなら、魔女の俺が奪ってもいいんやで。」

「…えっと、それは?」

「なんで魔女は白雪姫を殺そうとしたか。それは白雪姫が美しかったから。その美しさはどんな男も魅了する美しさ。どんな男でも、魔女の好きな男でも。」

下から見上げるすばるくんはさっきまでの酔っぱらったおっさんではなく、一人の美しい美男になっていた。

ああ見えて顔の整ったすばるくんに見つめられると、魔力に吸い寄せられるように見入ってしまう。

こいつはかなりずるいやつや。

しかしここでこの魔力に負ける訳にはいかない。

すばるくんの肩を強く押して体から引き離した。

「俺はどちらのもんでもない!離せ!つか帰れや。」

「そんな訳にはいかんねんな。」

「なんで俺やねん!!他のやつでもええやろ!!」

「それはまるにしかわからん。俺は、ただ亮にキスしてもらう、しかもロマンチックな方法を教えただけ。」

あきれて返す言葉を無くした俺にまたすばるくんはくっついてきた。

「まるが嫌なら俺が寝取ってもいいねんで?どっち?純粋にお前の事が好きなまるか、別にお前でなくてもいい俺か。」

これはまるを選ばなくては俺はすばるくんに襲われる。それは嫌や。でも…。

「結婚は…嫌や。」

「ここ…日本やで。」

冷めた目で見られてハッとした。日本にいる限り結婚されることはなかった。

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