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白雪姫

第2章 魔女になった瞬間

これは俺が魔女になる直前の話。

ずいぶん前から気になることがひとつあった。

うちの元気印に元気がないこと。

原因は大したことない。

「…まる?」

「…え?な、なに?」

「お前、最近ボーッとしてへんか?…俺が思うに決まって大倉と亮が一緒におるときに。」

「そ、そうかな?僕は普通ですよ。」

照れて目をあからさまにそらせる姿は正直可愛らしい。

しかし、ただ可愛いだけやない、複雑な葛藤が俺の心に渦巻く。

「普通とちゃうやろ。…いいたないんならええけど。」

俺も俺でなんもかんもすぐに表に出るのが短所で、あからさまに不機嫌になってまるから離れる俺を見て慌てて俺の歩く先を止めにはいる。

「…渋やん。」

こいつの攻撃は何一つかわせない、防げない。

まるで心臓を直接握られたような強い痛みが襲いかかる。

「話したいことがあるから、今日一緒に飲みに行こう?今日もどうせ一人で晩酌やろ?ほんなら、僕と一緒にいきましょ?」

オレンジ色した大きな太陽のような笑顔は拒否権を与えることはなかった。

まるは知らない

まるの毒にやられた

俺の痛む心を

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