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白雪姫

第2章 魔女になった瞬間

「そういえば、渋やんにいわなあかんこと…あったな。」

「おん。」

「…前さ…僕…罰ゲームでさ…亮ちゃんと一緒に遊びにいったやんか?」

「……あぁ、微笑みデートな。」

「そう、それ。…あれからどうもおかしいねん…。」

つまようじを加えて必死に平然なふりをする俺に容赦なく話す。

「亮ちゃんのこと…どうやら好きみたいやねん…。でもさ、これはわからんけど…亮ちゃんとたつよし、ええ感じやん?……せやから…どうしようって…。僕の最近の悩みなんです。」

悩みと言うわりにずいぶんと楽しそうに笑っているのがなんとも憎らしい。しかし憎めないのがもどかしい。

「…で、聞いてほしいんが…。」

「まだあんのか?」

「僕…亮ちゃんとキスがしたいんです!!」

はっきりとし過ぎていてむしろ清々しい暴露につまようじがぶっ飛びそうになった。

「アホらしいとは思うんやろうけど…。僕のこと好きやなくても、たつよしが好きやったとしても…亮ちゃんからのキスがほしいんです…。どうにかなりませんかね?師匠?」

ここで師匠と使われたらまるでまるは亮の体ごと奪いに行くから手伝えと言われているようで、そんなこと考えたくもなかった。

しかしまるの濁りのない、純粋な瞳を見て、その考えはどこかへ消えた。

「…そんなん無理矢理に強引に…」

「それじゃあかんねん。…付き合ってるんやないから。ただ、ノリとか…そんな感じの軽いのでええねん。でも…あんまりこの事は他の人には知られたないねん。…特に…たつよしには。」

乙女な心を持ち合わせたまるの心を読むのは難しい。

「なんか…いい方法…ないですか?」

改めて聞かれると、答えたくなくなる。

答えたことがもし採用されたら、自分で自分の好きな人を自分から離す訳だから。

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