シトイウカ
第1章 いち。
「夏の終わりに」
月が半分に欠けている
歩道にはオレンジの街灯が並んでいる
少しふらつきながら歩けば
僕の影は回って揺れた
ショッピングモールのステージは
深夜にも関わらず
ライトアップされていて
白色のワンピースを着た娘が一人立っていた
足を止めた僕に気付いてはないだろうが
両腕を開け、右足を柔らかに前方へ突き出し
そして
ゆったりと娘は舞う
観客は僕以外にいないのに
それは、美しかった
惚けた僕は時を忘れて
そこに立っていた
娘の手をとり踊ろうか
拍手喝采してみようか
という衝動にかられたけれど
この暗闇で見ているだけが
一番良い気がした
そして、ずっと見ていたかった
帰り道を一人で歩く
君が躍り終える前に
また君に会いたい
そんな気持ちを転がしてみて
意気地無しの僕は
隅っこにしまった
さようなら、ありがとう
終わり
月が半分に欠けている
歩道にはオレンジの街灯が並んでいる
少しふらつきながら歩けば
僕の影は回って揺れた
ショッピングモールのステージは
深夜にも関わらず
ライトアップされていて
白色のワンピースを着た娘が一人立っていた
足を止めた僕に気付いてはないだろうが
両腕を開け、右足を柔らかに前方へ突き出し
そして
ゆったりと娘は舞う
観客は僕以外にいないのに
それは、美しかった
惚けた僕は時を忘れて
そこに立っていた
娘の手をとり踊ろうか
拍手喝采してみようか
という衝動にかられたけれど
この暗闇で見ているだけが
一番良い気がした
そして、ずっと見ていたかった
帰り道を一人で歩く
君が躍り終える前に
また君に会いたい
そんな気持ちを転がしてみて
意気地無しの僕は
隅っこにしまった
さようなら、ありがとう
終わり