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シトイウカ

第2章 に。

「旅愁に、爪を切る」

爪が伸びている
切らないといけない

こうして非常階段で
背伸びをすれば
かろうじて
水平線が見える

飛行機雲が崩れていく

大陸に渡ったとき
風が足を巻いていった感触に
嫌悪して
やはり自分はちっぽけな
島国の者だと

太鼓のリズムに
心踊らせ
熱帯夜に呑むリキュールに
氷を食んだ女の香水は
知らない国の匂いがして

遠くの空の下
とても遠くの空の下
笑っている
いつかのあなたに
今も恋する

手相は変わらず
不吉な様相で

伸びた爪を切らないといけない

終わり



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