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シトイウカ

第2章 に。

「散歩」

お前は生きても20年
見上げる犬に思う

俺は生きて
あと何年
石を蹴飛ばして思う

俺が名付けた小さなお前と
この町を歩けば
道端の花に気付いたりする

お前が片足を上げて
しょんべんひっかければ
平和な町に気付いたりする

たった少しのことで
ニンゲンの社会なんて
壊れてしまうから

たった少しのことを
大切にしたい

お前のよく利く、その鼻で
たった少しのことを教えてくれないか

お前の小さな、その命で
とても大切なことに気付かせてくれないか

どちらが先にくたばるか
それはわからないけれど

一人と一匹
今は一緒にこの町を
並んで歩いてくれないか

終わり



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